2015.7.22 ☆玲子のアイショット☆~京都大学地球熱学研究施設~

今回ご紹介する建物は、京都大学地球熱学研究施設。

正式名称は、京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設です。温泉で有名な別府にあります。京都大学の施設がなぜ別府に?と思いますね。ここは、大正時代から地熱や火山、温泉に関する研究施設。それだけ別府温泉は歴史があり、研究対象となりえたのでしょう。

1923年(大正12年)に竣工した二階建ての煉瓦造の建物。国の登録有形文化財に指定されています。

この建物は、大正から昭和にかけて活躍した建築家・永瀬狂三氏の設計です。京都大学の多くの建造物を手がけ、中でもこの建物が永瀬氏の代表作です。

 

この建物、実は平面上はL字型。しかし正面から見ると、中央の塔屋と玄関を中心に左右対称のデザインでシンメトリーとなっています。

赤煉瓦の柱型が大小交互にリズミカルに配されており、その間には上げ下げ窓が並んでいますね。

イオニア式の柱頭などの要部は柔らかな白い石造りになっていて、全体を引き締めていました。赤と白の対照。全体の色調バランスが素晴らしいですね。

細部まで行き届いた装飾は職人技。玄関上部、塔屋の装飾も凝っており、その加工技術の高さには驚きました。素敵です。

ホテルのようなエントランス。石と煉瓦のコラボで重厚感が増していますね。

 

レンガは、京都大学の吉田キャンパスに残る当時の建物と同じ色調のレンガです。旧石油化学教室本館、3人のノーベル賞受賞者が学んだ理学部物理学教室、工学部土木工学教室本館。同じ色調で焼いた煉瓦職人さんもまた、素晴らしいですね。

こちらのページに紹介されています。
 http://kenchiku228.blog85.fc2.com/blog-entry-926.html

 

下部の石造り。

飛び出すようにコブ出し加工することにより、重厚感を演出しています。コブ出し加工の一方、目地は整然と通っていますね。

 

荒々しさと精密さ。なおかつ、石の大きさは様々です。加工した石職人と現場で積んだ石職人の技と技との融合ですね。

 

この建物は、別府市のHOPE賞を受賞している建物でもあります。

HOPE賞とは、別府市の自然環境に調和し、地域の人口に親しまれる建物をめざした別府市地域住宅(HOPE)計画の一環で、別府の風土に合ったデザインの建物に贈られる賞です。誇らしいですね。

竣工して92年。多くの研究者がこの建物で研究し、成果を発表してきました。それを支えたのは、この建物です。今も建設当時よりほとんどそのままの状態で使用されているとの事。

92年前の建設マンがしっかりした仕事をしたからこそ、しっかり研究ができたと言っても過言ではありません。今後もこの建物が研究を支えていくことでしょう。

地球熱学研究施設本館は1年に1回、1日だけ一般公開されています。別府に行かれた際には、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

柳野玲子

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