2015.8.30 ☆玲子のアイショット☆~福岡市赤煉瓦文化館~

福岡市昭和通りの一角にどっしりとした存在感で建つ、国指定重要文化財施設。

赤煉瓦文化館を訪ねました。

 

 

1909年(明治42年)旧日本生命保険株式会社九州支店として竣工。

1969年(昭和44年)に国の重要文化財に指定され、その後に日本生命保険が移転したため、その後は福岡市歴史資料館として開館しました。

1990年(平成2年)に博物館機能を福岡市博物館に移転。その後、重要文化財としての建物のみを公開。

 

 

 

2002年(平成14年)に再開館したのが現在の赤煉瓦文化館です。

一階は文学サロン、二階は有料会議室となっています。

 

 

 

設計は辰野金吾です。

設計した建物の頑丈さから「辰野堅固」と呼ばれていたそうですよ。

辰野金吾は佐賀県出身で、工部大学校(のちの帝国大学工科大学、現在の東京大学工学部)を卒業し、工学博士、帝国大学工科大学学長、建築学会会長となりました。代表作には、玲子のアイショットでもご紹介した東京駅・旧日本銀行小樽支店を設計。また、日本銀行本店や大阪市中央公会堂、奈良ホテル本館など、数多くの重要文化財を設計しています。

 

 

 

 

確かに、雰囲気や色合いが東京駅に似ていますね。赤煉瓦と白い花崗岩の外壁は、19世紀末のイギリスのクイーンアン様式。小ドームや尖塔の形状も変化に富み、窓も趣向をこらした物で目を奪われます。

 

 

 

現場監督は設計者の意匠図に基づき煉瓦と石の割付図を作成します。更に石を加工するために、ミリ単位で作成し単品図を作成するそうです。細かい作業が隠れているのですね。それを正確に加工した職人さん、素晴らしいです。

 

 

 

屋根にも細かい装飾が多くみられます。そして屋根の緑青部分は銅板葺き、黒い部分はスレート葺き。高い足場での板金工の作業は大変だったことでしょう。100年以上経った今でも当時の雰囲気を保っているのは、建設マンの高い技術力ですね。

 

内部は無料で見学することができます。照明器具、階段の装飾、手すりの装飾などにはアールヌーボーの影響が見られました。

 

 

丸みを帯びたアイアンが可愛らしいですね。

 

 

 

階段室の吹き抜けには大きな窓から明るい陽射しが降り注いでいました。

力強い鉄骨階段にロートアイアンの手すり。コーナーの親柱と手に触れる部分は、ぬくもりのある木を使用しています。鉄骨階段やアイアンを造った鍛治工と大工のコラボ作品。装飾性と機能性を兼ね備えた階段です。

 

 

吹き抜けの壁仕上げの塗装がまた見事です。広い壁面にはクラックが見当たりませんでした。下地を造った左官工の職人技ですね。塗装工は下地処理に寒冷紗を使用し、下塗り・中塗り・上塗りと丁寧な作業を行ったことでしょう。手間暇かけた仕事は、質感が違いますね。

 

生命保険会社の社屋というだけに、華美さは抑えられています。また、大理石の玄関や照明器具、カーテンは建築当時の仕様に復元されているそうです。

 

 

 

こちらは玄関のカウンター。

辰野金吾が設計した旧日本銀行小樽支店と良く似たデザインです。

 

(旧日本銀行小樽支店のカウンター)

 

よく見ると、種類の違う大理石を隙間なく貼っています。

加工と施工技術の高さには本当に驚きます。

 

 

外観・内装の細部に渡り高い技術に基づく丁寧な施工が行われていた明治時代。明治の建設マン達が試行錯誤で修得し建設技術を向上させました。それを今生きる建設マンが受け継ぎ、次世代へ継承していかなければなりません。その為にも建設マンはこれからも必要不可欠です。もっと関心を持ってもらえるよう、アイショットでどんどん魅力をご紹介していきます。皆さんも是非まわりの皆さんに伝えてくださいね。

 

 

柳野玲子

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