2015.9.13 ☆玲子のアイショット☆~旧福岡県公会堂貴賓館~

今回ご紹介するのは、1910年(明治43年)に建てられた旧福岡県公会堂貴賓館。

明治時代の希少なフレンチ・ルネッサンス様式を基調とする公共の木造建築物として、貴重な建物です。

 

 

 

明治43年、第13回九州沖縄八県連合共進会の開催に際し、会期中の来賓接待所を兼ねて建設されました。そして閑院宮夫妻の宿泊施設、陸軍特別大演習の本営、皇太子行啓の宿泊施設としても利用され、太平洋戦争中には福岡連隊区司令部にもなったそうです。

 

戦後は福岡高等裁判所、福岡県立水産高等学校、福岡県教育庁舎として転用されたとのこと。様々な使い方ができる施設なんですね。1984年(昭和59年)には、国の重要文化財に指定されました。

 

 

 貴賓館は木造2階建の洋風建築。凝った造りですね。北側正面中央に石柱による玄関ポーチを突出させ、北東隅に八角塔を張り出しています。とんがり帽子の塔屋がアクセントになっていますね。

 

 

 

屋根は、前回ご紹介した赤煉瓦文化館の屋根と同じく、緑青色の銅板葺きと黒のスレート葺きです。屋根の仕様が同じでも、外壁の仕様で大きく雰囲気が変わるものですね。

 

 

外壁は1階窓台から下の腰壁は白い化粧タイルを貼り、1階モルタル壁には目地が入っています。2階窓額縁や軒蛇腹をモルタルで造出して外観を石造に擬しています。

 

 

 

モルタルでこの造形を造るには技術がいる事でしょう。下地にはラスや力骨を使用し、砂・セメント・珪砂などの配合にも注意しなければなりません。下塗り・中塗りでクシ引きをし、しっかり乾燥期間をとります。

今ほど混和剤や下地材のない時代に素晴らしいです。日本古来の左官技術が活かされ、仕事の丁寧さを見ることができました。

 内部も公開されているので見学が可能です。

 

 


全体的に華麗で品のある貴賓館にふさわしい内装となっており、外観同様、内装にも繊細な職人技を見ることができました。

まずは天井部分。

 

 

 

木製格縁や木骨下地漆喰塗の格縁で幾何学模様をつくっています。天井装飾によりシャンデリアが引き立っていますね。

 

 

 

 

どの客室も異なった意匠となっているようでこだわりを感じました。優美なもの・シンプルで可愛いもの・額縁と一体化となっているものなど、各部屋に合わせたデザインとなっています。

 

 

 

扉周りのレリーフも手が込んでいて立派ですね。腰壁や窓の額縁など、あらゆるところに木を使用しています。円形窓の額縁も木製です。

 

無垢材は、反りや割れがないように、材料の選定・乾燥・取り付けなどの大工技術がとても重要です。丁寧で正確な仕事をしたからこそ、こうして今でも立派に残っているんですね。

 

 

夜の貴賓館も、また顔が変わって美しかったです。

西洋様式の建築ですが、日本古来の左官技術・大工技術が活かされていました。その建設マンの技術を、今まで同様これからも進化させ継承していってほしいですね。

 

 

建物の中にはレストランもあるので、食事をしながら貴賓館の雰囲気を感じることができます。ぜひ明治の建物に触れてみてくださいね。

 

柳野玲子

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